患者さん向けのやさしい医療情報
終末期医療のムダを後期高齢者制度で削減せよ?
今週号の週刊新潮(7/3、7/10号)に、
「
終末期延命医療
、
老人医療
のムダを削減させるためにも、後期高齢者医療制度は是非とも存続させねばならない」
と言う記事
が載っていました。
まるで政府自民党への後方支援記事であり、でっち上げの終末期医療、嘘ばかりの老人医療の記述です。
≪診療報酬を含めた医療供給システム≫そのもの、≪関連法規など医療支援システム≫そのものが問題
なのに、多くの医師・看護師は現場で誠心誠意奮闘努力しているのに、ただ
ただ医者叩きに終始した実にひどいものです。
医療破壊をさらに加速させるような暴論です。
●
「終末期医療、老人医療は、やればやるほど儲けになる。やりたい放題、したい放題だ。」
これはひどいですね。終末医療現場で奮闘している医師・看護師はじめパラメディカル・スタッフすべてを冒涜する暴言です。真摯に患者さんと向かいあってるスタッフの気持ちを踏みにじるものです。
医師としての医療本能も当然ありますが、やりたくてやっているんじゃない、やらなければならないから、やっているんです。
アホラシィー! 何を好んで、わざわざ労働地獄をつくるものですか!
どんなに過剰な治療をしたって、医師の給料が増えるわけでもなし、すべて医師としての良心からやっていることなのに、ひどいです。
●
「医者が、終末期延命医療を導入することで、医療費を故意に膨らませている。」
、
これもひどいですね。救急外来に運び込まれたら、救命処置を当然施します。結果として植物人間になろうが、たすけることが救急医の使命です。病院内で心臓が止まったら当然蘇生処置を施します。結果的に延命医療の導入になるかもしれません。
安らかに死を迎えたいのなら救急救命外来なんかへ来なければいい。入院なんかしなければいい。家庭で家族が静かに看取ればいいのです。
在宅介護・在宅医療をしていた場合でさえ、
ほとんどの患者家族は、
終末期医療を病院へ丸投げします。
患者家族がそれを望むから、やらなければ刑事罰をくらうから、やるのです。
誰が好んで延命医療など導入すもんですか
!
●
「検査漬け、薬漬けで、老人医療費12兆円」
、
これまたひどい。
この12兆円は高いんですか?安いんじゃありませんか?
12兆円すべてを国家が負担しているような言い方ですが、
国家負担分は約4割、5兆円に過ぎません。患者負担(受診時払いと保険料負担料)は世界的にも最高に高く、
残りが企業負担です。
また医療費の内訳は、
極端に安い診療費
、逆に
薬価・医療材料費は極端に高く設定
されています。
(技術料≒診療費が極端に低いから、検査代、薬剤費の占める比率が高くなるだけでしょう。先進国並の診療費に置き換えて、計算し直してごらんなさい。ついでに先進国並みの薬価に引き下げて計算することも忘れずに。)
「老人を入院させるな、病院で死を迎えさせるな、病床数をもっと削減しろ」
、と言いたいのですね? その受け皿がどこかありますか?
少なくとも、そんなこと、政治の問題であって、医師の責任ではありませんよ。
国民の合意が出来ているのですか?
サッサと解散して、この制度の意義について、
国民の審判を仰げばいい
のです?
現在の苛酷な診療報酬下では、
限られた入院期間で、必要な検査や初期治療をすませたら、否応なしに退院を勧めているでしょう。そうしなければ病院経営がなりたちません。入院が長引けば赤字になるからです。当然ですが、検査・薬剤費の占める比率がはね上がります。
(昔みたいに老人ホーム代わりの
社会的入院を提供できる余裕はありません。何もしないで終末を看取る余裕などありません。
)
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入院料・治療費を払わない患者、初期治療が終わっても引き取り手がない患者、暴力をふるって迷惑をかける患者....強制退院させれば、マスコミから袋だたきです。
アメリカだってそんな患者は放り出しますよ。支払いリスクのある患者は、最初から診療拒否して、相手にさえしません。
日本では、なんで病院がすべて犠牲にならねばならないのですか?
いったいどうせよと言うのでしょうか?
政府や行政が何かしてくれますか?
マスコミも患者側の落ち度を批判したらどうですか?
病院はボランティアでやっているのではありませんよ
。
(本来の診療費・看護料・技術料などの理不尽なまでの低額さ、その一方で企業を儲けさせるため、保険薬剤・輸入医療材料などの異常な高価政策などなど、
自民党政府に都合が悪い点はかくした一方的な意見です。
)
老人医療・終末期医療など、
どうせ死んでいくゴミ同然な無駄なモノに、医療費を浪費している。
医者がすべて悪い
と言った(
医師性悪説
に凝り固まった)論調です。
自分に都合がいい意見だけを寄せ集め、都合悪い事実はかくした
独善的・傲慢不遜・冷酷非道
な、弱者切りすて(ヒットラーのホロコーストと同じ)の論理です。
実際の医療現場をのぞいてほしい。
≪終末期医療の悲惨さ≫
を自分の目で確かめてほしい。
はたして、あなたが言っているような
無駄な医療が、実際行われているか否か?
これ以上診療報酬を削って、
どうして病院を運営できるのですか?
さらに
大幅に病床数を削減
せよと言われるのですか?
在宅介護、在宅医療が実際可能だと思われるのですか?
在宅医療を誰が担うのですか?
在宅医療の経験ある医師でさえ、限界を感じ、やる気を失っているのですよ。
いったい
誰が誰を介護する
のですか?
核家族化が進んでいます。老人夫婦だけや独居老人も多いですよ。家族が介護すれば、少ない労働人口がさらに減少しますよ。
介護施設が充分あると思われるのですか?
圧倒的に不足している介護施設ですら
運営できないほどに報酬がすでに切り下げられているではないですか?
(
介護も医療と同様切り下げられ続けています。リストラは不可能です。
少し景気が回復し、人件費が上がれば完全にアウトです。4K5Kで給料も最低、将来性のない職場に、若者は来てくれません。今いる職員も他の職種へ逃げていくでしょう。現在でも、介護職員の平均月収は、他の産業と比較して、男性は12万円低く、女性は3万円低いと言われています。離職率は21.6%と高率です。)
(厚労省の手口は、
うまく騙して参入させ、つぎはハシゴを外す
、その繰り返しです。誰も厚労省・政府なんか信用していません。直接被害をこうむる国民も不幸ですね。)
これらの現実をどう説明されるのですか?
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あなたもまた、経済財政諮問会議のメンバー(政商と御用学者たち)や財務官僚と同じ考えですか?
経済効率? 電子化?(余計に手間がかかるばかりです) 合理化?(さらにリストラ?)
人的集約産業の代表である医療福祉に合理化や競争原理は適用できませんよ!
機械じゃあありません。生きた人間が働いているのです。医療環境は劣悪です。
(特に医師のそれは、労働基準法無視の地獄ですよ。余裕も必要です。病院から
全国規模で医師が逃散する理由
はここにあるのです。厚労省は無視して知らぬ顔ですが、強制的に休ませるべく行政指導(法律)も必要です。)
■
さらに苛酷な医療費削減が至上目的なのですか?
■
現在進行している医療崩壊にさらに拍車をかけ、ハゲタカ経済界が医療参入をもくろむ、医療供給体制の徹底的破壊こそが目的ですか?
■
現実に即して柔軟に対応し、医療崩壊をくい止めること、医療福祉環境を再構築することこそ、喫緊の大事ではありませんか?
それに応じた医療福祉関連費の当然増しという選択肢
は、あなたの頭には毛頭ないのでしょうね?
国民(老人)の医療福祉よりも経済効率が優先し、
道路や箱物作りが、
国民のセーフティ・ネットよりも大事
なのですね?
公共事業に投資するより、
医療福祉関連へ予算配分を切り替える
方が、はるかに経済波及効果が大きく、国民GNPを押し上げるという試算
もありますが....いかがですか?
公共工事3%削減??...30%削減の間違いではありませんか?
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医療経営はきわめて厳しい現状です。それでも赤字には出来ません。
今の診療報酬配分では、慢性病入院患者や老人入院患者はむしろ厄介者です。終末期老人患者も、手間がかかるばかりで割があいません。
出来ることなら
さっさと退院させたいのが本音でしょう。
かりに医師が過剰に治療したとしても、当人の給料に反映されるわけがありません。
(むしろ
医師性善説
よろしく、
自分たちの権利を主張せず、自己を犠牲にして奉仕してきた結果、労働地獄・医療環境の悪化、労働報酬の低下を招いた
のです。
≪働けば働くほど、頑張れば頑張るほど、自分たち自身の頸を絞めることになる、労働環境の悪化を招くことになる≫
と認識され始めています。)
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患者や家族が延命医療導入を望むから、どこからか第三の関係者が出てきて医療の不充分さをを一方的に責めるから、出来る限りの医療を行うのです。過剰でムダと思われる医療までも、
行わなければ、犯罪者扱いにされ、罪にとわれかねない
から行うのです。
一度、導入してしまった延命治療は、後で家族が負担に耐えられず、気持ちが変わったとしても、刑法に触れ、もはや簡単に中止することはできません。
患者家族も医療関係者もともに地獄です。
現場の医師や看護師が
労働地獄・環境地獄
におちいって、どんなにもがいているか、そんな劣悪な医療環境下でさえも、どんなにか献身的に診療しているかを先ず確認してから、発言して欲しいものです。
ただ想像だけで、でっちあげた記事
には、心底怒りを覚えます。
いい加減にして欲しいです。
自分は何様か?いかほどのモノなのか?
誤解も甚だしい。
2〜3週間、昼も夜も、36時間不眠不休で、現場医師に密着して過ごしたらよろしい。
医療現場の実情が少しは理解できるでしょう。
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国会で真正面から真摯に議論して、
≪終末期医療に関する法律≫
を整備することこそ、第一に行うべきことです。
同様に、善意で行っている医療行為である以上、その結果で罪を問わない
≪よきサマリア人の法律≫
も作るべき
です。これこそ、医療の崩壊を防ぐための重要手段です。是非必要な法律のひとつです。
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終末期医療が不十分だと騒ぎ立て、散々医者を悪者扱いにし、犯罪者扱いしているのは、あなたたちマスコミではないですか??
一方で
≪終末期医療の不十分さ、患者切りすて≫
を非難し、他方で
≪終末期医療のムダ、治療のやり過ぎ≫
を非難する、
マッチ・ポンプ
そのものですね!!
大衆受けをねらった扇情的な記事で売り上げを延ばして稼いでいるのは、マスコミそのものではありませんか!!
医療の崩壊を引きおこした第一級戦犯
は、あなたたちマスコミではないですか?
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従来の医療制度でも、今回の後期高齢者医療制度でも、
終末期医療
をどのように行うかは、たしかに重要な問題です。
そのためには、
国会などでまず十分に議論して、国民の合意を得ることが先決
です。
国民の合意がないままに、医療保険制度で強制し、終末期診療費を削減させることで目的を達せようとする
のは、政治家や役人の傲慢な権力の乱用です。ヒットラーの最終処理(ホロコースト)の精神と同じです。
ますます、
現場の医者を悪者に仕立てること
になります。そんなことは、まっぴらゴメンです。
2008,6,28 初稿
終末期延命医療
救急医療の回避、よきサマリア人の法律
≪姨捨山医療制度≫2008年4月1日導入される
≪姥捨て山医療≫の本質:食べ物屋を例にして説明します
≪姥捨て医療≫への批判の嵐、低所得者ほど保険料負担は増大
(マンガ)後期高齢者医療制度の撤廃を!
保険医協会パンフレットを転載
外来主治医と後期高齢者医療制度
(2008年1月6日毎日新聞)
≪人頭払い≫と≪かかりつけ医≫
医療費総枠拡大のための財源は?
道路特定財源
輸出企業への消費税戻し税(まるまる輸出補助金と同じでは?)
日本の医療費は本当に高いの?
医療崩壊をくいとめよ、年金問題より医師確保を
紫陽花 2007.6.18
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