多発性骨髄腫 (multiple myeloma)
原発性マクログロブリン血症(primary macroglobulinemia) 形質細胞腫
からだの免疫機能を担う抗体蛋白質(免疫グロブリン;IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)は、骨髄にある形質細胞で作られます。
この形質細胞がガン化して異常増殖して起こる疾患です。 血清中に異常免疫グロブリン(M蛋白)が検出されることで診断されます。
1)多発性骨髄腫:IgG、IgA、IgD、IgEを産生する細胞が異常に増殖する場合、
2)原発性マクログロブリン血症:IgMを産生する細胞が異常に増殖する場合をと呼びます。
≪症状・検査所見≫
多発性髄腫では、腰・背中・骨の痛みのほか,からだのだるさ、疲れやすさ、貧血の症状などが現れます。感染への抵抗力も低下して肺炎などにかかりやすくなります。全身の異常な骨粗鬆症を来し、わずかな外力で骨折しやすくなります。
尿検査や血液検査では、尿中に蛋白(BJ蛋白)が出たり、血沈(赤血球沈降速度)が亢進しています。
原発性マクログロブリン血症では、リンパ節の腫れ、肝臓・脾臓の腫れなどが多く見られます。
また、多発性骨髄腫および原発性マクログロブリン血症では、M蛋白の血中濃度が高くなり血液の流動性(血液粘稠度)が低下して血液循環障害を起こし、腎機能が低下するなどの症状も見られます。
≪治療≫
薬物療法などのほかに、血漿中M蛋白を除去して血漿の粘稠度を下げる目的で血漿交換療法が用いられます。
≪予後≫
難病です。感染症など合併症で死亡されることも多いです。
★参考データ:当院の最近の症例です。どうしたわけか当院で最近3例続けて発見しました。
多発性骨髄腫は高齢の女性に多いのですが、2例は中年、壮年の女性でした。これは壮年男性患者の症例です。大学病院と共同で管理しています。
2002,1030 センリョウ
斎藤リウマチ科・内科・整形外科へ