頸椎捻挫(けいついねんざ)
【頸椎捻挫とは 】
交通事故やスポーツ事故などで頚に不意に衝撃を受け、頸椎(頚の骨)周囲の筋肉や靱帯、神経や血管などの組織に損傷を受けたものです。
首の痛みなどのほか、ひどいときは頭痛、肩こり、吐き気、めまいなどがみられます。
症状がひどいときは≪外傷性頸部症候群≫と区別して、呼ばれることもあります。
【症 状】
頚部痛、動きの制限、めまい、吐き気、頭痛や肩こりなど、いろいろな症状がみられます。
頸椎捻挫の多くは一部分の軽い症状にとどまりますが、
重症例では、交感神経や筋肉の異常な緊張により、眼が疲れる、だるい、腰が重い、肩がこる、上肢(上半身)がしびれるなどの自律神経失調症状が見られることもしばしばあります。(バレー・リュー症候群)。
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これらは大きく分けて4つの病型に分類することができます。
1)頸椎捻挫型
頸椎捻挫といえば大半がこの型で、頚の周りの筋肉や靭帯、椎間関節(頚の骨の関節)が捻挫を起こしたものです。炎症を起こし、神経網を刺激して症状を起こします。
★★ 症状は強くなくても、頑固に遷延し、治療に難渋することも珍しくありません。
2)神経根症状型
頚の神経が圧迫されたり、刺激されて、頚椎動作時に上肢のしびれや痛みが強くなり、握力低下などもみられる。
3)自律神経症状型
めまい、耳鳴り、不眠、肩こり、頭痛、食欲不振、疲労感、抑うつ症状、など多彩な症状がみられる。
頸椎前方に自律神経の中枢、星状神経節があり、そこに影響がおよんだものです。
4)脊髄症状型
脊髄が損傷された場合は、両手のしびれや、筋力低下、重度では両下肢の麻痺もみられます。
【治 療】
急性期は頚部を安静にします。
頚部保護するため、頸椎カラー固定(頚の装具)も使用します。
筋弛緩剤や抗炎症剤、抗不安剤などを併用します。
リハビリテーションとしては
頚のストレッチや牽引、
温熱療法、
低周波、干渉波などの電気療法、
筋力強化など
症状にあわせて治療します。
それでも良くならない頑固な痛みに関しては、神経ブロック療法も行います。
※頸椎捻挫の約8割は『頸椎捻挫型』で、受傷後約3ヶ月以内で、ほぼ完治するものがほとんどです。
【考 察】
頚椎捻挫の治癒率について
1ヵ月で40%、3ヶ月で70%、6ヵ月で90%との報告が多い。
6ヵ月以上を治癒遷延例とし約10%認められる。
治癒遷延に及ぼす因子について、初期症状が重いほど遷延化する傾向が強いが、例外も多い。
入院加療、運転手、現場作業員といった職業、根症状型、バレー・リュー症状型といった病型が遷延傾向に関与しているといわれている。
頚椎捻挫例における胸郭出口症候群の合併例の割合は23%〜76%と報告されています。
このような症例では、治療開始時から十分な注意が必要と思われます。
★★★ 問題は、保険会社は営業利益目的であり、自分に有利な論文・報告を一方的なよりどころとして、一刻も早く治療を打ち切りたいのです。
不幸にして遷延治癒例の場合、しばしばトラブルが起こっています。
損保会社の対応も、相手を見て極端に違います。ヤクザもどきの人には甘く、老人や気の弱そうな人に対しては、ヤクザ顔負けの強引さです。