大腿骨頭すべり症
成長期に見られる稀な疾患です。10歳〜14歳の骨成長旺盛な時期に発生率が高く、比較的肥満の男児に多いのが特徴です。大腿骨頭の成長軟骨でずれ、両側に発生することもあります。
≪原因≫は明らかではありあませんが、外傷や内分泌異常と関係があるともいわれています。
≪症状≫は股関節から大腿にかけての痛み、股関節の動きの制限、歩行障害です。強い痛みがある不安定型と、痛みが比較的軽い安定型があります。
≪診断≫
X線写真で行われます。正面像では骨端の高さの減少、側面像では後方へのすべりがみられます。
あおむけに寝た状態で、検者が患肢の持ち上げ、膝と股関節を曲げると股関節があぐらをかくように外旋する「Drehmann(ドゥレーマン)徴候」がみられます。
≪治療≫すべりが進行することが多いため手術が必要です。
1)安定型(慢性型):すべり角によって治療法や合併症の発生頻度が異なります。
●すべり角度が小さい場合:そのままの位置でスクリューなどにより固定するだけでよく、手術時間も短く、治癒後の変形も少なくて済みます。
●すべり角度が大きい場合:大腿骨頭壊死や軟骨融解症などの合併症の発生や変形治癒によって変形性股関節症の早期発症が危惧されます。これら重大な合併症発症の予防目的に、
a)スクリュー固定による骨頭すべりの進行予防と、
b)変形矯正骨切り術がおこなわれます。
2)不安定型(急性型);牽引または愛護的徒手整復で転位の整復を行い、整復位で内固定または骨釘移植を行う。
手術前
手術後
3枚の図の借用元です:http://www.biwa.ne.jp/~mccshiga/ort-suzuki/index.html
散歩の途中でみかけました、水辺の鷺とクレマチス 2006,4,25
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