脊椎カリエス
血流を介して脊椎へ結核菌が感染した病気です。結核性脊椎炎とも呼ばれ、骨関節結核の中で最も多く見られる病気です。
結核にかかっている人はもちろん、以前結核にかかったことがある人も発病の危険性があります。
わが国では20歳代が好発年齢です。
この病気は昭和40年代までは、多くみられました。背骨の痛みといえばカリエスをまず疑いました。
治療の困難な病気だったのです。しかし、抗結核化学療法(ストレプトマイシン)の発達以来急激に減少し、最近ではほとんどみることがありません。
根絶したわけではありません。 結果的に、診断がおくれることが多くなりました。
【症状・診断】
胸腰椎部に多く発生し、初期はただ背中が痛んだり、病巣部を背中からたたくと痛みを感じたりする程度です。
全身的な反応として、微熱、赤血球沈降速度の促進がみられます。
病気が進行してくると脊柱運動制限が現われ、さらに進むと椎体は破壊され脊柱後弯変形がみられます。この時期には、破壊された部分に生じた肉芽や腹部・殿部に大量の膿がたまり脊髄を圧迫し、排便・排尿障害、下肢のマヒなどを生ずることもあります。
エックス線写真は、脊椎カリエスの診断には不可欠ですが、早期では、その所見がみられないこともあり所見がないからといって安心できません。
【治療】
カリエスの治療は、安静と抗結核化学療法が基本です。
1〜2年間の抗結核化学療法と、コルセットの装着が必要です。忍耐のいる病気です。
しかし、早期に発見し治療を開始すれば、変形を残さず治るものです。
エックス線写真で腐骨(死んだ骨)などがみつかれば、手術で病巣摘出し骨移植すると治癒を早めることができます。
※ 参考図・写真:新図説臨床整形外科講座第12巻(メジカルビュー社))244〜247pageより借用させていただきました。
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