患者さん向けのやさしい医療情報

医療崩壊を食い止めよ
  年金問題より医師確保を
 
 
                 連載企画「1票の意味-参院選インタビュー」権丈善一慶応大教授

                       岐阜新聞のコピーです。(07/07/19 共同通信社)






≪院長コメント≫

 医療崩壊の現実に目を向けた、
しごく当然な意見をやっと新聞紙上で目にしました。

 以前からこのホームページでも、しばしばコメントしていますが・・・・・医療の危機的状況
   1)医者が人間らしい生活ができる程度(労働基準法に則った労働条件)の労働環境の構築
   2)医師としてモチベーションを維持できる程度の技術報酬は当然認めること
   3)善意で誠心誠意行っている医療行為である以上、よきサマリア人の法律を適用すること
   4)24時間救急医療などこそ、国公立病院がになうこと
   5)日常診療は一般民間診療所がにない、特殊検査や手術、入院治療は病院がにない、
     両者の役割分担を明確にすること。
   6)健全な医療体制を構築するために必要な医療費は国民(国家)が負担するべきこと
   7)患者にも医療をうける権利と同時に、医療を守る義務を課せること

 医療崩壊の真の原因に気づいたのなら、どの新聞社も、報道機関も、今までの医療パッシング一辺倒の報道姿勢を大いに反省していただき、
医療現場の窮状(真実)をありのままに国民に知らしてほしいものです。

 政府の御用聞きマスコミは、国民を扇動して第二次戦争へと突き進んだ苦い反省をすることもなく、同じ過ちを犯しています。
 
医療費削減キャンペーンの片翼を担ぎ、常に医師を非難し続けました。医療崩壊の最大の原因を作った張本人と言われています。
 例えば、
現在医療供給体制の構造的問題に目を向けることなく、表面的な事象のみセンセーショナルに報じて、正義ぶって医者叩きに終始した奈良の妊婦死亡事件報道、福島の産科医逮捕事件報道とが、産科医療へ壊滅的打撃を与えてしまったのです。

 医者として誠実に当然の医療を行ったとしても、結果が悪ければ、
過失致死罪・過失傷害罪に問われかねないバカな時代になりました。危険な医療には手を出さないことが、唯一最良の自己防衛策となったのです。

 
政府からは医療費削減による兵糧攻めにあい、検察・司法からは罪人に仕立てられかねず、マスコミからは医者は極悪人というイメージを作られ、報道番組はおろかお笑い番組までもが、視聴率稼ぎの捏造までして医者叩きに終始し、視聴者を洗脳してきました。さらに少数とはいえ、患者からは感謝されないどころか、傍若無人な過大な要求を突きつけられ、医療費を踏み倒す輩も珍しくない御時世になってきました。カネ目当てとしか思われないような医療訴訟の頻発もこまったものです。


 現状のままでは、
医療従事者のモチベーションは下がる一方です。
 
一度崩壊した医療は、その再建に莫大な負担とながい時間を要することになります。病気と同じです。一瞬のうちに病状は悪化しますが、その治療には多大の時間と重い経済的負担を必要とします。

 イギリスでは、サッチャー保守党政権は、苛酷なまでの医療費削減政策を行いました。それに嫌気がさした有能な人々、医師も看護婦も医療技師も、多くがアメリカなどへ国外へ流出しました。その結果、イギリス国内医療供給体制は破綻したのです。現労働党政権にかわって、ブレア前首相は大幅に医療費を増やしましたが、一度壊れたイギリス医療の再建は遅々として進んでおりません。
 日本でも、2008年の高齢者医療にイギリス同様の制度≪人頭払い≫と≪かかりつけ医≫を導入しようする案が今審議されています。ただただ医療費削減のみに走って、イギリスと同じ過ちを犯すようなことになってはなりません。



 
    2006,10,25 菊


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